私の分かりすぎる表情の変化に要冬真は当たり前だが感づいて、追いかけるようにまた人一人分近付き、楽しそうに目を細めた。


「何今更照れてんだよ、先に告白したのお前だろ」


頭からトンカチで叩かれたような衝撃的な言葉に、ついに開いた口が塞がらなくなる。
忘れてた!恥ずかしい!



「ううう、うっさい!大体なんで女の子に先に告白させるわけ?ヘタレ!」


「ヘタレだ?当たり前だろ自信なんてなかったんだからな」




吐き捨てるように離れた要冬真は、気まずそうに目線を逸らしてからもう一度私を見上げた。
ばつの悪そうな表情は、彼らしくない。




「最初は我慢しようとしたんだ、仕方ねぇってな。でもお前があんな事言うから、もう我慢出来なくなった」




その言葉に、信じられないほど体が痺れるのを感じた。
麻薬のような魔法。
珍しすぎる毒気のない表情が相成って素直さ120%トキメキ2000%!

自分で言ってて意味わかんないけど要約すればつまり!



私は2度目の死を迎えた!





「もう、俺のもんだから」




砂のように滑らかに伸びる白い手から、逃げる事は出来なかった。
私の頬が熱いからか、要冬真の手は冷たい。
その冷たさに思わず目を閉じると、甘い香りが鼻を掠めていくのが分かった。


彼の匂い。


ひどく安心するのに心は何度もざわついて、緊張で泣いてしまいそうだ。



「一生離してやんねぇ」



彼の吐息が、唇を撫でた瞬間思い出したようにその動きが静止したのが分かった。



は!



つうか私なに自分から目瞑ってんの!そのウェルカムな感じ、なんなの完全に酔ってた私?


はーずかしー!
死にたい!



三回目の死は自殺か!




ひっくり返るような速さで目を開くと、鼻が届きそうな距離にきめの細かい肌が見えて苦しくなり、肺に空気を吸いこんだ。




「そういえばお前」



少しだけ離れた距離、今度は間近に彼の表情が見て取れる。



「昨日の夜、秋斗と何にもなかったんだろうな」



昨日の夜…。
カバディ事件か!