図星だ。
7割は。
自信がないというよりかは、強引に行った所でそれでモノにしても釈然としない。

いや嘘だな。
拒否されるのがイヤなんだ。


それに過去、海を庇った事で一時的ではあるが彼女が一人になったのも、自分が大事なモノを主張出来ない原因の一つである。


だから鈴夏が嫌がらせを受けた時も、悪化という事態を招きたくなくて春に見張らせる事しか出来なかった。


『鈴は強いよ』



そんなことは分かってる。
でも、全てにおいて忽ち自信が無くなってしまったのだ。

俺様らしくもなく、欲しいモノは何に対しても全力を尽くしてきたと言うのに、浸食されればされるほど相手の出方を窺ってしまう、嫌な病気。



人並みに恋愛はしてきたつもりだったが、こんなに一挙一動を慎重に行ったのは初めてだった。



――…ったく、自分が嫌になるぜ




「俺が気持ちを打ち明けた所でどうなるってんだ。破談にでもなるのか?」


「いいえとんでもない。ただ、冬真はそれでいいのかなと思いまして」



あーそうかい、なら言うな。



「いいもなにも、仕方ないだろうが。どうしようもねーだろ」



尤もな意見を口にしたつもりだ。
自分に言い聞かせるように、頭の中で何度も繰り返す。
どうしようもない、仕方ない、そう加えながら。




「文字通り、奪ってみたらどうですか?」



「そういうことに関しては、事情も何も俺には理解できる。文句もいえねぇだろ。俺達の周りでは政略結婚なんてザラだ。珍しいもんでねーよ」


俺が片手であしらうように秋斗から風を追い払うと、彼は真顔で首を軽く傾けた。




「へぇ、じゃあ私が鈴夏さんに[ピー]したり[ピー]したり挙句の果てには[ピー]を[ピー]させたりしてもいいんですか?」

※[ピー]…自主規制





こいつは、真顔でなんてえげつない事を口走るんだ。
そんな秋斗にちょっぴり引きながらも、ちょっとだけその様を想像してしまった自分を殴りたくなる。




――…想像したら、腹が立つに決まってるだろう




アホか、俺は。