ハルは私の手を力強く握り歩き出した。
子供体温なのか、彼の指先は暖かく、小さな手、身長も私と変わらないのに抵抗してもびくともしない。



指先から繋がるハルの後ろ髪には相変わらず寝癖がついていて、その無頓着さが見て取れるが、そんな彼が生徒会だなんて思っても見なかったわけで。


よく考えてみれば、まともに話したのは生徒会長と副会長と会計だけだ。

あと書記と話せば完璧だな!





あ、私か…。




いやいや、書記なんかやりたくない。



「ねぇ」

「なぁにー」


「元々書記は居なかったの?」



「いないよー!一応三年に上がるときに投票でとうまが生徒会長に決まって、おれ達を指名したわけ」


「うん」


ハルは私の質問に答えると、それに合わせるように歩みを遅めた。

段々速度を落として完全に停止したところで、彼がこちらを振り向く。


「でも生徒会役員が全員同性っていうのは駄目なんだって」


「ふぅん」


「でも、とうま目当てで媚びうってくる女の子ばっかりでね、結局保留のまま4月になっちゃって」



私は、何となく返す言葉が見つからずに黙ってしまった。

女の子が媚びるのも、近寄ってくるのも当たり前。



そんな態度はまさしく俺様なのに。




仕事が絡むと意外にシビヤなんだ…。



「だからね、とうまに飛び蹴りしたのがリンだって聞いてね、仲間になるなってすぐ思ったよ!」


「うわ!だからあんな馴れ馴れしく話しかけたの?」


「うん!」


「なんかショック」



「えへへ、でも飛び蹴りスゴいってのも本気だから!」



ハルは、花が綻ぶように笑った。


私はそんな彼の笑顔につられながら、もしかしたら生徒会の仕事をやってもいいかもしれないなんて、血迷った考えが頭をよぎった。