とりあえず彼が“7不思議”に興味を示したので、幼少時代よく通った『金白村7不思議・私が生まれる前からばぁさんだった婆さん』が運営する駄菓子屋に案内し、要冬真曰く「価格破壊が起きている」駄菓子を購入して分け与えた。



感想:商品名“着色料”に変えた方がいいんじゃねーか、これ


不審な顔をいただきました。




次に私の産まれた病院へ案内し、そこで長年飼われている柴犬・ピーターを紹介。
私の予想通り、要冬真は動物が大好きらしい。ピーターはすぐヤツに懐いてヤツもピーターにデレデレだった。

「お前、ピーターとジョセフ全然似てねぇじゃねーか。まぁ、俺はどっちも好きだけど」

その笑顔に見惚れたのは秘密だ。



感想:お前、こいつに嫌われてるだろ



そういえば、ピーターと競争して勝ったその日から彼は私を恐怖の目で見るようになった気がします。



最後に私の家がある商店街にやってきた。
要冬真は不思議そうに辺りを見回していたので速度を落として歩いてあげると、少し前を歩いていた私は自然と彼の真横になる。



ワゴン車に乗ったショーツの山を見て一つつまみ上げ「でかいパンツだな」と言ったので吹きそうになり口元を押さえ肩を震わせていたら理不尽に叩かれ、その隣のガチャガチャに興味を示したので一緒にしゃがみこんで丁寧に、それこそ手取り足取り操作法を教えてやったのに何故か頭を叩かれた。



ニヨニヨしてたのバレたか…、だってなんか可愛いんだもん。


「あら!鈴夏ちゃん久しぶりさねぇ」



二人でガチャガチャを見ていると、聞き覚えのある甲高い声が聞こえ顔をあげる。
そこには、懐かしい顔。



「あ!サエコおばさん!半年振りです!」


クラスメートの母親、親父の商店街仲間、私の中で様々な肩書きがあるおばさんだ。

私が立ち上がったのを見て、要冬真も後に続く。


「突然転校だなんて、ホントびっくりよー夏樹さんがね、“鈴夏は金持ちの学校を出てワンランク上のラーメン屋の娘になって帰ってくる!”とか言っててねぇ」



親父…!!