「有名やろ、あの“俺様何様生徒会長様”に跳び蹴りかましよるんやから」



“俺様何様生徒会長様”か。

なんか、あいつを的確に表現した言葉だな。

てか、そんなんで有名なんかい私。


「えっと、星南くん…」


「右京」


「う、右京くんは、」


「う・きょ・う」


「なんだ何の嫌がらせだ!質問させろよメンドクセーな!」


「俺、女の子には名前呼び捨てさせるってポリシー持ってんねん」


知るか。


なぜお前のポリシーに付きあわにゃならんのだ。



大体右京って顔じゃないし。

どっちかっていうと、夜露死苦みたいな。


どう考えても煙草とか吸ってるだろ。

ヤニの匂いは、しないのだが。




右京は億劫そうに垂れかけた前髪に付いていた緩いゴムを一度外して、結び直した。





「あんたみたいな髪の色なら一回くらい見ても良いはずなのに一度も見たことないんだけど」

珍しい髪の色だと思う。
染めているのだとしたら、相当色を抜いていると思うのだがその割に柔らかそうだ。




「せやなぁ、俺H組やし、鈴夏A組やろ。そうそう会わんな」

右京は手を押さえずに一つあくびをした。

確かにこの学校は校舎に比例して生徒数もハンパない。

多すぎて、学年の半分以上は一度も顔を合わせずに終わりそうなほど。



特に私は、一年間しかいないので、当然だが。



この学校は、AからIまでの各学年9クラスで構成されている。

私とハルと要冬真、はA組で、久遠寺くんはC組。


綺麗な“コ”の字をした校舎は端からA・B・C…と並んでおり、AとHはほぼ対極側にあるのだ。

ちなみに生徒会室は、A組から一番近い階段で一階に降りてすぐの所にある。


知らないはずだ。
移動教室は渡り廊下を通り、第二校舎に行くし、クラスに用事が無い限りは本校舎を歩き回ることはない。


「いつもここにいるの?」



「まぁ、3年間ここ通っとるけ。女連れ込んでもバレへんしな」




「女?なぜに」



「当たり前やん、セックs」

「シネェェェ!」


「ガハッ!」