──ガタ。


イヤホンを乱雑に学ランのポケットに詰め込み、悪魔は腰をあげた。


薄暗い教室に、二人きり。


ドクンドクンと心臓は恐怖で震えてんのに、脳ミソはやけに冷静で。

もうこの人からは逃げられない。

そう心のどこかで諦めてたんだと思う。


私はただただぼんやりと、近づいてくる悪魔を見上げることしか出来なかった。