白い壁に青灰色のシャッターがトレードマークの実習場は、普段使用される事が少ない。

機械系の授業を選択している人達がたまに使うくらいで、少なくとも私は今まで一度も中に入った事はない。


──そんな実習場の裏側。

壁とフェンスの間に2メートルほど間隔が空いてて、フェンスの向こうには木々が生い茂っている。


よくよく考えれば、恰好のサボリ場所じゃないか。

周りからは死角で、人通りも極端に少ない。


だけど。

それはある意味……危険、とも言える。





「スイマセン、ちょいと散らかってます」


そんな明るい声に迎えられた先に待っていたのは、あまりにも残酷な光景だった。


私はまばたきさえも忘れ、声の主の足下に転がっている3つの物体を食い入るように見つめた。


地面に這いつくばるようにうつぶせてぐったりしているそれらは、ここから見てもわかるくらい傷と泥だらけで。

コンクリートの白い地面には無数の赤い染み。


言われなくても、今までここで何が行われていたかなんて、容易に想像出来た。