冬うらら2


 今日、電話でソウマが言った。

 人がせっかく、彼のことを見直そうとしていたのに、それが気に入らないかのように、受話器は話の途中でカイトをからかった。

『まるで、かぐや姫とでも結ばれたようじゃないか』、と。

『お前は、明日には彼女が月へ帰るんじゃないかと、毎日心配してるんだな』

 ふざけんな!

 ガチャン!

 それが、話の結末。

「カイト……どうしたの?」

 触れてくる指。頬を撫でるように優しく動く。


「どうもしねぇ!」


 怒鳴ってしまった。

 でも、メイは怯えたり怖がったりしなかった。

 抱きしめた身体は、ビクリとも震えなかったのだ。

 愛しさが更に溢れて、彼の腕に力をこめさせる。


 まだ―― 不確かな恋のドアしか、カイトの目の前にはなかった。