冬うらら2


 黄緑色。

 最初に目に入ったのは、それだった。

 よく見る。

 白。

 黄緑。

 黄緑。

 白。

 色の羅列はともかく―― それが、服であることはカイトにも分かった。

 しかも、どうやら女物で、ヒラヒラしているのも分かった。

 メイの顔を見る。

 もう一度、彼女は「ごめんなさい」と言った。

 この見たこともない服は、どうしたのだろうか。

 いま、彼女が謝ったことをあわせて考えると、何となく理解は出来る。

 おそらく、彼女はこの服を買ったのだ。

「服くれぇで謝んな」

 カイトは、眉を顰めた。

 嬉しいのが半分と、不機嫌なのが半分混じったら、そういう表情になってしまったのである。

 嬉しいのは、初めて彼女が自分の意志(?)で、実用品以外のものを購入したという事実だ。

 不機嫌なのは、物凄く悪いことをしてしまったような態度である。

 どうせなら。

『これどう? 買ったの、似合う?』

 と着てきて、くるりと回るくらい―― ダメだ。心臓が持たねぇ。

 想像するだけで息切れしそうな予感に、カイトは自分を落ち着かさなければならなかったのだ。

「あの! でも、これは…その……本当は……」

 最初は強い言葉で何か伝えようとした彼女だったが、最後には小さい音になって消えた。

 本当は?

 その後には、何が続くのか。