冬うらら2

ω
 約束の時間は、7時だった。

 しかし、ツバサの準備は6時より早く、既に出来上がっていたのだ。

 いつでも、迎えに行く準備はオッケーという状態で、彼はいつまでも『待て』の状態は維持できなかった。

 いまから出たらちょっと早いかな? でも、道が混んで遅れるとリエが寒い思いをするし。

 と、自分にいろいろ理由をつけながらも、時間を前倒しして動いてしまったのだ。

 しかし、本音を言えと言われれば、ツバサは即答出来ただろう。

 リエに、一秒でも早く会いたい!

 まさしく、この一文だった。

 平日の彼女は、とても忙しい。

 ツバサでさえ知っているゲーム会社、鋼南電気で社長秘書をやっているのだ。

 忙しくて当然だろう。

 しかし、幸い平日でも1度くらいは出会えていた。

 彼が働いているフィットネスクラブに、彼女は週に一回は顔を出すからだ。

 仕事が終わって一汗を流しているリエの姿は、いつも惚けてしまうくらいに綺麗でしょうがない。

 そんな女性が、自分の彼女なのだ。

 本当に、誰にでも自慢して回りたかった。

 リエに止められていなければ、あと100人には触れ回っていたに違いない。

 彼女は恥ずかしがり屋なのか、あまり付き合っているということを知られたくないようだ。

 少し残念なことだったが、彼女がそう望むのならしょうがなかった。

 とにかく。

 そんな彼女が、今日は勤め先の社長の結婚式だか披露宴だかに参列することになっていて。

 その話を聞いた時から、終わったら迎えに行くと約束をしていた。

 二次会に行くので、もうちょっと遅くなると電話が入った時は、物凄く落胆したのだ。

 けど、もうすぐ会えるよ!

 時計の針が進むごとに、ツバサのアクセルを踏む足が、『ラリラリラ~』になるのだった。