冬うらら2


「もっとゆっくりしてきてもよかったのに」

 ふふふ。

 しかし、ちょっと意地悪な言葉が出てしまうのは。

 その紳士がやらかした、過去の所業のせいである。

 確かに自分が惹かれはするが、それはやりすぎでしょう、という範囲まで踏み込んだ時のことは、どうしても忘れられないのだ。

 今となっては、その事実で2人の関係をどうこうしようというワケではなかったが、それでも時々、思い出の箱から取り出して、ふっとホコリを吹いてしまいたくなる。

 あの事実がなければ。

 多分、もっと違った結婚生活になっていたのではないかと思う。

 何の障害もなく、当たり前のように結婚していたのだと。

 過去の障害の上に、いま成り立っているのだ。

 その事実だけは、ハルコは忘れたりしなかった。

 自分とソウマの、数少ない『ワガママ日記』の1ページ。

「おいおい…ああ、あっちはいい雰囲気だな」

 妻の言い様からでは、その奥深くまでは気づかなかったのだろう。

 苦笑した後、ソウマは視線を、ハナとワンコの社長に向けた。

 多分、出会ったのは初めての2人だ。

 その2人が、この二次会を期に、どういう風に発展していくか、ハルコもちょっと気になるところではある。