冬うらら2


 ハルコは。

 あの元気なハナが、夫の腕にすがりついたのを見た時、多少ならずも胸が騒いだのだ。

 酔った席では、起こりがちな出来事であることと、相手の女性にもソウマにも、邪心がないことは分かっていたので、慌ててそれをうち消したが。

 シュウをたしなめて引き離し、自分が席に戻ってきてからしばらくして。

 ようやく、ハナから逃げてきたソウマが隣に座る。

 騒ぎの本人は、飲み過ぎで目をぐるぐるにしてしまったらしく、ワンコの社長に連れられて奥の方へと、半分抱えるように連れて行かれていた。

 あらあら。

 そういうのを見ると、尚更安堵と微笑みが漏れた。

 どうやらあの西部の色男は、可愛い子に巡り会ってしまったようだ。

 これまでは、いろんな女性に蝶よ花よとしているところは見ていた。

 特に、披露宴会場では。

 しかし、いまはもうあのハナにしか、構っていないのだ。

 本人が、気づいているかどうかは別にしても、ハルコの笑みを誘ってしまう。

「いやあ、参った参った」

 苦笑しながら、とりあえず一つフライドポテトを取り上げると、口の中に放り込む夫。

 そう言えば、向こうの席ではスモークサーモンにも、そんなことをしていた。

 フォークとナイフを、鮮やかに使いこなせる紳士のくせに、そうじゃない部分もアピールしようというのか。

 実際、ソウマは紳士な部分だけではなかった。

 経営コンサルタントという仕事をしながらも、幻の植物を求めてジャングルの中に分け入る男である。

 何でもソツなくこなせながらも、冒険心に満ちあふれているのだ。

 現地で出される食事は何でも食べるぞ―― そんな紳士が、どこにいるのか。

 詳しいメニューを想像したくはなかったが、でもそんな男だからこそ、自分は惹かれたのかもしれない。