冬うらら2


 スッピンであっても、違う顔に見える。

 リエだって、自分に自信はあった。

 しかし、その気持ちを外側に向けて、強く放出することは出来ないのだ。

 彼女の理性が、それをとどめる。

 ハナと自分を比較しても、『勝った』と思った直後、『かなわない』という感情に襲われるだけなのだ―― 慌てて、比較についてやめなければならなくなった。

 そんな彼女が、目を落としたフライドポテトの皿に。

「……?」

 正確には、皿の下に。

 リエの側にだけ見えるように、メモが挟んであったのだ。

 じっと見れば、それにはケイタイ番号が書いてあるのが分かる。

 どうやら、あのウェイターの仕業らしい。

 まあ。

 しかし、彼女はウェイターの方を見たりしなかった。

 ここで、この紙に気づいたことを、知らせる必要はなかったのだ。

 こんなものは、無視するに限る。

 行きずりのウェイターになびくような、軽い女ではないのだ。

 わざと視線を避けて、彼女はポテトに手を伸ばす。

 銀紙の中では、真っ赤なケチャップの沼がポテトを待っていた。