♪
「あぶな…!」
ガシャ、ガシャン!
いくつか、ガラス類を巻き込むような音が聞こえた。
ちょうどハナの側には、テーブルがあったのだ。
上には、いろんなものが乗っている。
それを、ひっくり返してしまったのだろう。
しかし。
ハナの身体は、そのまま机にダイビングしたりしなかった。
窮屈で不自然な角度のまま、止まったのだ。
視界に入るのは、会場の天井と―― その途中の、ズリ落ちそうな丸眼鏡。
メチャクチャ焦っている、眼鏡の向こうの目。
「……ダイジョブか?」
柔らかい西部なまりが、耳に流れ込む。
あきらかに、ホッとした表情に変わったのが分かった。
何、こいつ。
ハナは、現状をよく理解できなかった。
助けてくれたのは分かるが、さっきからイチイチイチイチ自分につっかかってくる。
ワンコの社長に会ったのは、これが初めてだと思っているが、何か因縁でもあったのだろうかと思うくらいだ。
ゆっくりと垂直に態勢を戻してくれる時に、ハナの手は無意識にテーブルの上にあるものを掴んでいた。
やわらかくて、ネチョっとしていて。
不快感があったが、無意識だったのと酔っているせいで、そのまま握りしめてしまった。
「う…」
身体が垂直に戻ると。
そこでようやく、自分が飲み過ぎたことに気づいたハナだった。
うまく1人で立てないのだ。
思わず、目の前の身体に両手ですがってしまった。
「だ、大丈夫か!」
驚いた強い声が、飛んでくる。
そんなに大きな声を出さなくても聞こえるわよ―― ツッコミも、こんな状況では口から出てきたりしない。
白黒に点滅する視界に、もっと強くすがりつくしかできなかった。
そう。
無意識に握りしめていた、スモークサーモンの手で。
ワンコの若社長の、スーツにすがりついてしまったのだった。
「あぶな…!」
ガシャ、ガシャン!
いくつか、ガラス類を巻き込むような音が聞こえた。
ちょうどハナの側には、テーブルがあったのだ。
上には、いろんなものが乗っている。
それを、ひっくり返してしまったのだろう。
しかし。
ハナの身体は、そのまま机にダイビングしたりしなかった。
窮屈で不自然な角度のまま、止まったのだ。
視界に入るのは、会場の天井と―― その途中の、ズリ落ちそうな丸眼鏡。
メチャクチャ焦っている、眼鏡の向こうの目。
「……ダイジョブか?」
柔らかい西部なまりが、耳に流れ込む。
あきらかに、ホッとした表情に変わったのが分かった。
何、こいつ。
ハナは、現状をよく理解できなかった。
助けてくれたのは分かるが、さっきからイチイチイチイチ自分につっかかってくる。
ワンコの社長に会ったのは、これが初めてだと思っているが、何か因縁でもあったのだろうかと思うくらいだ。
ゆっくりと垂直に態勢を戻してくれる時に、ハナの手は無意識にテーブルの上にあるものを掴んでいた。
やわらかくて、ネチョっとしていて。
不快感があったが、無意識だったのと酔っているせいで、そのまま握りしめてしまった。
「う…」
身体が垂直に戻ると。
そこでようやく、自分が飲み過ぎたことに気づいたハナだった。
うまく1人で立てないのだ。
思わず、目の前の身体に両手ですがってしまった。
「だ、大丈夫か!」
驚いた強い声が、飛んでくる。
そんなに大きな声を出さなくても聞こえるわよ―― ツッコミも、こんな状況では口から出てきたりしない。
白黒に点滅する視界に、もっと強くすがりつくしかできなかった。
そう。
無意識に握りしめていた、スモークサーモンの手で。
ワンコの若社長の、スーツにすがりついてしまったのだった。


