☆
ちょうどその時、ウェイターがスモークサーモンを、この修羅場のテーブルに運んできた。
とりあえず、ソウマが受け取る。
ついでに、多少行儀が悪いとは知ってはいたが、一枚手で取ると口に運ぶ。
その後で、テーブルの上の空いている場所に、皿を着陸させるのだ。
サーモンピンクというのは、何て風情のある色の名前なのか。
ソウマの口の中は、ワインを飲みたくなるサーモンの味で充満していた。
しかし、その辺りにあるワインときたら、余りに適当なグラスに注がれているではないか。
飲み手の性格が伺い知れて、つい笑ってしまう。
自分がおいしいと思うような形なら、何でもいいのか。
誰が注いだか知らないが、カイトがやりそうな所業だ。
「あんまり邪魔しないようにした方がいいぞ、シュウ…馬に蹴られても知らないからな」
言っても理解出来ないかもしれないが、一応クギを刺す。
「そうよ…その辺にしてあげたら? 社長さん困っているじゃない」
そこで、ソウマに百万の味方がついた。
いつの間にか、自分の妻が援護射撃に来ていてくれたのだ。
しかし、気に入らないのは、最後にタロウ氏に笑顔を向けたことか―― いかんいかん、あれは単なる社交辞令の微笑みだ。
ソウマは、慌てて自分の気持ちをうち消した。
「おお…元秘書さんやあらへんの! おおきに!」
社長という肩書きを持っているには、少々屈託のない笑みが返ってくる。
幸い、その視線にハルコへの色気は含まれていなかったので、夫としては彼を安全パイのエリアに放り込むことが出来た。
「心外です…」
2人がかりでたしなめられるとは思っていなかったようだが、シュウはハルコの存在を、普通の女性以上に認めているらしい。
最後まで、油断なくタロウ氏を見てはいたが、ようやくその席を離れていった。
秘書時代に、きっと信用を得ていたのだろう。
すごいことである。
しかし、少し離れた席から、じっと見ていることには変わりなかったが。
ちょうどその時、ウェイターがスモークサーモンを、この修羅場のテーブルに運んできた。
とりあえず、ソウマが受け取る。
ついでに、多少行儀が悪いとは知ってはいたが、一枚手で取ると口に運ぶ。
その後で、テーブルの上の空いている場所に、皿を着陸させるのだ。
サーモンピンクというのは、何て風情のある色の名前なのか。
ソウマの口の中は、ワインを飲みたくなるサーモンの味で充満していた。
しかし、その辺りにあるワインときたら、余りに適当なグラスに注がれているではないか。
飲み手の性格が伺い知れて、つい笑ってしまう。
自分がおいしいと思うような形なら、何でもいいのか。
誰が注いだか知らないが、カイトがやりそうな所業だ。
「あんまり邪魔しないようにした方がいいぞ、シュウ…馬に蹴られても知らないからな」
言っても理解出来ないかもしれないが、一応クギを刺す。
「そうよ…その辺にしてあげたら? 社長さん困っているじゃない」
そこで、ソウマに百万の味方がついた。
いつの間にか、自分の妻が援護射撃に来ていてくれたのだ。
しかし、気に入らないのは、最後にタロウ氏に笑顔を向けたことか―― いかんいかん、あれは単なる社交辞令の微笑みだ。
ソウマは、慌てて自分の気持ちをうち消した。
「おお…元秘書さんやあらへんの! おおきに!」
社長という肩書きを持っているには、少々屈託のない笑みが返ってくる。
幸い、その視線にハルコへの色気は含まれていなかったので、夫としては彼を安全パイのエリアに放り込むことが出来た。
「心外です…」
2人がかりでたしなめられるとは思っていなかったようだが、シュウはハルコの存在を、普通の女性以上に認めているらしい。
最後まで、油断なくタロウ氏を見てはいたが、ようやくその席を離れていった。
秘書時代に、きっと信用を得ていたのだろう。
すごいことである。
しかし、少し離れた席から、じっと見ていることには変わりなかったが。


