冬うらら2


 またも、妻がよそってくれたナッツサラダを、ありがたく頂戴していたソウマは、どこからか逃げ出してきた女子社員2人の話を小耳に挟んだ。

「もう、いきなりあんなところにくるんだもん、びっくりしたわ」

「ああ…せっかく、ワンコの社長さんと…」

「信じられないわよねぇ」

 不満たらたらだ。

 彼女らの言葉の先を見ると、シュウがぴったりと、伊達男にくっついている。

 実際は向かい合わせなのだから、物理的にくっついているワケではないのだが、あのカタブツのオーラが、そう言っているのだ。

 絶対に離れません、と。

 どうやら、よっぽど大事な得意先らしい。

 しかし、相手が相当迷惑しているのは、この距離からも分かる。

 助け船を出そうか出すまいか、ソウマが考えていると、どうやら耐えきれなくなったのか、彼は席を立ってトイレに逃げ込んだのだ。

 やれやれ。

 せっかくの二次会なのに。

「ああ、協力会社の社長さんね」

 ハルコに聞くと、すぐそんな答えが返ってきた。

 名前をタロウ・タナカというらしい。

 伊達男な外見と正反対の、シンプルな名前だ。

 あの独特の西部なまりを、ソウマはよく覚えている。

 何しろ、タロウがカイトに、とどめを刺したのだから。

 彼の、軽い気持ちで吐いたであろう言葉で、今頃自宅では―― いや、その辺りのことは、考えないようにしよう。

 ソウマは苦笑しながら、頭の中の光景をやりすごした。