冬うらら2


 あらあら、元気のいい子ねぇ。

 ちょっと離れていても、はっきりと分かる開発の女の子の様子を、さっきからハルコはチラチラと眺めていた。

 リエは口を濁していたが、他の鋼南電気の社員から、ハナという名前を聞き出した。

 ハルコが退社した後に、入った子らしい。

 しかし、さっきからハイペースでビールを飲んでいるように見えるが、大丈夫なのだろうかと、見ず知らずではあるが心配してしまう。

 ハルコ自身は、さっきから生ハムがおいしくてしょうがない。

 塩分があるので、自分の身体のことを考えると、あんまり食べてはいけないのだろうが、ついついフォークを伸ばしてしまう。

 あら、いやだわ。

 いまも、視線はハナに向けていたのに、フォークは生ハムに向いていたのだ。

「はい、あなた」

 しばらく葛藤したものの、生ハムを取り分けた皿を、ハルコは隣の夫の方へと押しやった。

 向かいに座っている、鋼南の男性社員としゃべっていたソウマが、それに視線を投げる。

「ああ、すまん」などと言いながらも、少し怪訝そうに受け取っていた。

 話し込んでいた彼は、ツマミに手をつけずに時々ビールを飲む程度だったが、わざわざオードブルを取り分けて渡してくれる妻の気持ちを測りかねたのだろう。

「それでですね…ハルコさん」

 反対の隣からは、ため息とともにリエの語りが続いていて、慌ててそっちに意識を向ける。

 どうやら、この完璧主義者の美人の女性は、社長の所業でいろいろ頭を悩ませているらしい。

 しかし、さっきからウェイターの1人が、何かとリエに視線を投げていたり、さりげなく彼女の側から料理をサーブしたりしているのに、どうやら気づいていないようだ。

 せっかくの二次会なんだから。

 こんなに魅力的な女性が、カイトの事で深刻な表情をしているのは、勿体ないように思えた。

 彼氏がいても、二次会という環境ならば、もう少し浮かれた気分になるものではないのか。

 本当に、あの社長は女性にとっては罪作りなようだ。