冬うらら2


 極力、自分以外との関わりも絶つ予定にしていたのだが、既に氏は両側に、鋼南電気の女子社員を2人置いている。

 さすがは、これからのし上がろうと、鋼南電気に手を出してきたソフトハウスの社長だ。

 情報収集の準備は、万端というところか。

 そうはさせません。

 シュウは、眼鏡を反射させた。

 けれども、そんな彼の意気込みなど、相手は完全に無視だ。

「社長さん、はい、あ~んして」

「おお、ほな…お言葉に甘えて! あ~ん」

 隣の鋼南の女性社員に、口に生ハムなどを運んでもらっている様は、とてもじゃないがキレモノの社長には見えず、『バカ殿』という方がぴったりであったが、それはおそらく彼の目を欺くための芝居に違いない。

 まず何とか、この女性社員2人をひき離さなければ。

「ほな、こっちからも、『あ~ん』や!」

「やーん、社長さんったらぁ~」

 しかし。

 こんな水商売の女性のようなことを、鋼南の社員がしているところを見ると、いささか不快感を禁じ得なかった。

 社員の質を、タロウ氏に値踏みされているような気がする。

「コホン」

 シュウは、はっきりと目の前の空間に、割って入る咳払いをした。

 手遅れにならない内に、不利なことに手を打つのは―― あの社長の下で仕事をしている、シュウの得意技の一つだった。