冬うらら2

△生ハム

 WANTED-CORPORATIONの社長から、目を離さないこと。

 これが、シュウのこの場所での使命だった。

 それ以外に、ここにとどまる理由はない。

 鋼南電気の社員が数多く集うこの場所で、内部情報などが彼の耳に入ると、後々の力関係に影響を与えるかもしれないのだ。

 しかも、酒の席である。

 人は飲酒により、理性のタガが緩くなり、うっかり口を滑らせてしまうことが多々ある。

 過去の接待などで、シュウはそれを知っていた。

 だから彼は、決して深酒はしない。

 必要最低限の飲酒でとどめ、極力接待相手を飲ませることに重点を置いていた。

 今日の場合もそうだ。

 タロウ氏が酒に溺れれば、この空間で聞いたことについての記憶も薄れるだろうし、目的も見失うかもしれない。

 シュウは、義務感とそんな下心を持って、彼に酒の付き合いを強要しようとしていた。