冬うらら2


 すると。

 何と。

「そういえば、おまえは仕事中みたいだな…邪魔をしてはいけないだろうから、彼女だけ借りて、ほかの部屋で相談してもいいぞ」

 などと、信じられない方向に話が進もうとするのだ。

 要するに―― メイだけを、この部屋から連れ出そうとしていたのである。

 いまだ、ちっとも満足した気になっていないカイトから、彼女を奪おうという気なのだ。

 いくらソウマ夫妻であったとしても、いまの彼にとっては、万死に値するような所行である。

 ふざけるな、と食ってかかろうとしたのに。

「あの…そうですね。お仕事の邪魔しちゃいけないですから…」

 メイまでもが、それに同意するかのように席を立ち上がったのである。

 ガーン!

 カイトのショックは、口には出せないほどだった。

 彼が動揺している間に、話はどんどん進んでいく。

 自分以外のみんなが、この部屋から出ていく準備などを始めたのだ。

 連れ去ろうとするのだ。

 カイトから。

 そんなのは。


「邪魔じゃねぇ!!!!!」


 カイトの怒鳴りは―― 地獄への扉を開けることとなった。