冬うらら2


 あのカイトの口からそんな言葉が!

 聞きたい。

 うずうずとする唇を、ソウマはぐっと我慢しなければならなかった。

 いまこの場で聞けば、カイトが活火山になるのが分かっている。

 うまく引き離した時にでも―― もしくは、ハルコに任せるというテがあった。女同士の方が、メイもガードが甘くなるだろうし、二人きりになる機会も多いだろう。

「話は終わっただろ! 帰れ!」

 そんなソウマの心でも読んだのだろうか。

 またも、カイトが牙をむく。

 いますぐ、彼らをここから追い出したくてしょうがないようだ。

 いや、それは最初からそうだった。

 よほど、二人きりの時間を邪魔されたくなかったらしい。

 まあ、確かにまだ結婚して一週間なのだから、その気持ちも分からないではないが。

「まだ、いろいろ決めないといけないことがあるのよ…女性にはいろいろあるんだから…ね、メイ?」

 ハルコは、パンフレットを数部持ち上げると微笑んだ。

 ナイスな妻だ。

 ソウマは、何を言ってもなかなかカイトをいさめることは出来ないが、彼女は野獣のような相手でも落ち着かせることが出来る。

 その上、ハルコは妊婦で。

 そんな相手に、カイトが本気でひどい態度に出られるとも思っていなかった。

 よしよし。

 予定通り、彼は顔を般若のように歪めながらも、それ以上噛みついてこなかったことに、ソウマは満面の笑みを浮かべる。

 さて、そろそろ自分も、ナイスな夫にならなければならなかった。

「そういえば、おまえは仕事中みたいだな…邪魔をしちゃいけないだろうから、彼女だけ借りて、ほかの部屋で相談してもいいぞ」

 満面の笑みのまま、ソウマは提案した。

 バッッ!

 瞬間的に、カイトが目をむいてソウマを睨んだ。

 何ということを言うのか、という目でもあったが―― 同時に、自分から彼女をひきはがそうとしているのに気づいて、それに噛みつくような目でもあった。

 たまらん。

 笑いを、ぐぐぐーっっとソウマはこらえた。

 満面の笑みどころか、吹き出してしまいそうだったのだ。