冬うらら2


「さあ、忙しくなるぞ…」

 カイトのお許しが出たのだ。これでもう、彼には何の文句も言わせないで済む。

 この『勝手にしろ』を言わせたかったのだ。

 最高級の許可である。

 目の前では、カイトがあまりに理不尽な状況にそっぽを向き、メイの方は、ヴェールを膝の上に乗せたまま、事態の把握ができずにキョロキョロとしている。

 いったい、どういう風に話がまとまったのか分からないようだ。

「そのヴェールは、式で使ってね」

 ハルコは、彼女にそう言った。

 式が執り行われるということが、たったいま決定したのだと教えているのだ。

 直接的な表現を使用しないのは、ロコツな言葉だと、カイトが追いつめられて前言撤回の咆吼をあげかねないからである。

 そうなると、また説得に困るのだ。

 外堀から埋めていくように、カイトはワナに追いつめていかなければならない。

 失敗したとしても、いざとなったら最終兵器『メイ』を使用すればよいだけだった。

「あの…でも……」

 落ち着かない目で、彼女がカイトを見る。

 本当にそういうことをしてもいいのだろうか、不安そうだ。

 カイトの許可が、分かりにくいのがいけないのである。

 長くつきあっているソウマやハルコだからこそ、彼の言動の裏側が分かるのだが、まだつき合いが浅い――別の意味では深いだろうけれども―― メイでは、ぱっと吸収出来ないのだろう。

 日常のコミュニケーションはどうやって取ってるんだ?

 それが、ソウマの不思議なところである。

 カイトが、いまだこの調子なのだ。

 どうやって、『好きだ、愛している、お前しかいない! 俺と結婚してくれ!』と言ったのだろう。

 一度、詳しく聞いてみたいものだった。

 この男に聞いても答えないのは分かっているので、是非、彼女の方に。

 きっとカイトは、自分では思い出したくないくらいの、ヘタクソな告白だったに違いない。

 ソウマはそう睨んでいる。

 そう睨めば睨むほど、真相が聞きたくてしょうがなかった。