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「あっ、あのね…」
とりあえず、まだそこにいてくれるリンの方を向いて、話を続けようとした。
そうしていれば、カイトの方を振り返らずに済むし、話をしているうちにさっきのことを忘れてくれるのではないかと思ったのだ。
面白そうに、クックックとリンが笑うものだから、余計に焦った。
どういう気持ちか、彼女にはバレバレな気がするのだ。
「あのねっ、結婚式は2月14日で平日なんだけど、あ! しょ、招待状持ってきてるの…招待…くっ、車の中だから取ってくるね!」
リンの視線にもいたたまれなくなって、メイはそこに止めてある車のところまで戻ろうとした。
急いでいるポーズを取れば、カイトの方を見なくてすむと思ったのだ。
そして、駆け出した一歩目。
余りに焦って。
「きゃっ!」
見事に、蹴つまずいてしまった。
古くてデコボコになった歩道は、昔から何度となくメイを転ばせていたが、それはいまも健在だったのである。
が。
彼女を受け止めたのは、歩道ではなかった。
腕。
背広の袖が見える。
あっ。
カアッと、身体が熱くなる。
この腕を、メイが忘れるはずがなかった。
「ご、ごめんね…ありがとう」
うつむいたまま態勢をきちんと戻すまで、その腕はずっと支えてくれていた。
更に恥ずかしくて、顔が見られなくなる。
「あっはっは…合格合格! こんな上等な男は、なかなかいないよ!」
リンの、大きな声のひやかしのおかげで。
何だ何だと―― 近所の人たちが、表の方に顔を出してきてしまった。
「あら、メイちゃんじゃないの!」
「おっ! メイ!」
「あんた! あんた! メイちゃんだよ! メイちゃんが来てるよ!」
きゃー!!!
オシメをつけていた頃から知っている人たちが、ぞろぞろと出て来てしまって、メイは恥ずかしさを隠すどころではなくなってしまった。
「あっ、あのね…」
とりあえず、まだそこにいてくれるリンの方を向いて、話を続けようとした。
そうしていれば、カイトの方を振り返らずに済むし、話をしているうちにさっきのことを忘れてくれるのではないかと思ったのだ。
面白そうに、クックックとリンが笑うものだから、余計に焦った。
どういう気持ちか、彼女にはバレバレな気がするのだ。
「あのねっ、結婚式は2月14日で平日なんだけど、あ! しょ、招待状持ってきてるの…招待…くっ、車の中だから取ってくるね!」
リンの視線にもいたたまれなくなって、メイはそこに止めてある車のところまで戻ろうとした。
急いでいるポーズを取れば、カイトの方を見なくてすむと思ったのだ。
そして、駆け出した一歩目。
余りに焦って。
「きゃっ!」
見事に、蹴つまずいてしまった。
古くてデコボコになった歩道は、昔から何度となくメイを転ばせていたが、それはいまも健在だったのである。
が。
彼女を受け止めたのは、歩道ではなかった。
腕。
背広の袖が見える。
あっ。
カアッと、身体が熱くなる。
この腕を、メイが忘れるはずがなかった。
「ご、ごめんね…ありがとう」
うつむいたまま態勢をきちんと戻すまで、その腕はずっと支えてくれていた。
更に恥ずかしくて、顔が見られなくなる。
「あっはっは…合格合格! こんな上等な男は、なかなかいないよ!」
リンの、大きな声のひやかしのおかげで。
何だ何だと―― 近所の人たちが、表の方に顔を出してきてしまった。
「あら、メイちゃんじゃないの!」
「おっ! メイ!」
「あんた! あんた! メイちゃんだよ! メイちゃんが来てるよ!」
きゃー!!!
オシメをつけていた頃から知っている人たちが、ぞろぞろと出て来てしまって、メイは恥ずかしさを隠すどころではなくなってしまった。


