冬うらら2


「大事って? ユウより?」

 子供らしい反応が返ってきて、またも彼女を困らせる。

 まだ、この世の中にはいろんな好きがあることや、いろんな大事があることを理解出来ていないのだ。

「ユウちゃんも大事よ…ユウちゃんも大好き。でも、あの…もうちょっとしたら、きっとユウちゃんにも分かるから」

 結局、最後はどこかで聞いたことのあるような、陳腐な言葉になってしまった。

 その違いを、うまくここで言葉に出来るほど、メイの口は器用に出来ていないのだ。

「ユウもう子供じゃないよ! ちゃんと好きの意味分かるよ…将来、おねーちゃんと、結婚するって約束したじゃない!!」

 どうも、子供扱いしたことに腹を立てたらしく、ユウは鼻声のままで反論してきた。

 彼の言う約束とは、ちっちゃな時にありがちのもので。

 もう随分前の出来事だ。

 それを今更蒸し返されては、メイも困ってしまう。

 リンに助け船を求めたが、彼女は面白そうな笑顔で、そんな様子を見ているだけだ。

 どうしよう。

 ユウの攻撃にやられっぱなしのメイは、必死に言葉を探した。

 出来る限り、純真な心に傷をつけないように説明するには、どうしたらいいのか。

「おねーちゃんね…あの人と…結婚するの」

 本当は、『結婚したの』が正しいのだけれども、この時はそう言えなかった。

 結婚式との順番が違うことで、ユウが後で混乱することを避けたのだ。

 それに、人に言う時は、こっちの方が言葉として落ち着くような気がした。

 けれども、恥ずかしいことには違いない。

 後ろの方にはカイトがいて、自分を見ているのがはっきりと分かる。

 その視線にくじけそうになりながらも、メイは一生懸命真剣に言葉を綴った。