冬うらら2

●63
「ユウちゃん!」

 メイは、驚いた。

 まさか平日の、しかもこんな時間に、家にいるとは思ってもみなかったのである。

 ただし、すごい鼻声だった。

 パジャマも、自慢の赤茶けた髪もぐしゃぐしゃで、熱のせいか目も潤んでいる。

「お゛ね゛ぇ゛ぢゃーん゛」

 そう言って、抱きついてくる甘えっこの身体を、彼女はぎゅうっと抱きしめた。

 リンは、メイの小さな時から面倒を見てくれたが、その代わり、彼女はユウを小さな時から面倒を見ていたのである。

 ゲームが好きで、いつも話して聞かせてくれた、大事なお友達だった。

「ほら、そんなメソメソしないの…男の子でしょ?」

 一度抱きしめた後、その身体を引き剥がす。

 身体は小さいけれども、ユウは来年には中学生だ。

 あのリンとマサの子にしては、ちょっと気が小さいのが、彼女の心配のタネだった。

「あ?」

 ぽろっと。

 本当に、うっかりぽろっとこぼれ出たみたいな声がして、メイは振り返った。

 その声が、カイトのものだったからだ。

 目をパチパチとしながら、彼はじっとユウの方を見ていた。

 ああ。

 カイトがどうしてそんな声を出したのか、彼女は分かってちょっと笑ってしまった。

 ユウは、とても可愛い顔をしているので、よく性別を間違えられるのである。

 街を歩いていても、大体女の子に間違われる。

 その容姿のおかげで、子役として芸能界へのスカウトもあったのだが、本人がイヤがったので話が流れた。

『私やマサの小さな時も、こんなものだったわよ』

 そうリンが言うので、その血を引いているなら、きっとユウも大きくなるに違いない。

 いまの姿を見る限りでは、ちょっと信じられないところがあるが。