冬うらら2


 まさか。

 また、メイを見る。

 もじもじしている。

「もしかして…メイ、あんたの『いい人』かい?」

 意を決して、リンは彼女に聞いた。

 こくり。

 ああ、やっぱり。

 リンは、自分の予測と答えが合致していることに気づいて、小さく吐息をついた。

 どういう経緯があったかは分からないが、あのヤクザものと彼女は、恋仲になってしまったようである。

 おそらく、彼女の立場を考えると、借金絡みで芽生えた恋なのだろう。

 多少、男の無愛想を考えると賛成しかねるところがあったのだが、それを言うなら、自分の夫の無愛想さもヤクザクラスだ。

 それどころか、街をあるけばヤクザの方が逃げていく。

 とりあえず、さっきまでの自分の勘違いを水に流そうと、笑いながらメイの彼氏をバシバシと叩いていると、表の騒動を聞きつけたのか、噂の無愛想な夫が顔を出してきた。

 名前は、マサ。

 元々は、向かいの八百屋の息子だった。

 それを、リンが一本釣りしたのである。

 どちらも長男長女で、店の跡目を継がなければならない身だった。

 だから、結婚にはいろんなところから反対が来たのだが。

 結局、どちらも継ぐということで決着がついた。

 おかげで、マサは八百屋の仕事を。

 リンは、魚屋の仕事をすることになったのだ。

 将来的には、店を一緒にすればいいじゃない―― ついに、周囲は折れてくれた。

「お久しぶりです、マサさん! ユウちゃんは元気ですか?」

 これまた久しぶりな顔に、メイは嬉しそうに挨拶をする。

 はっ!

 リンは、そこで思い出した。

 ユウは。

「ああ、ユウなら…今日はカゼで学校を休んでいる」

 マサが、顎で奥の家の方を指すような動きをした。


「お゛ね゛ぇ゛ぢゃーん゛」


 鼻声でずるずるで、でも、彼女の声を聞きつけたのか、パジャマのままリンの子供が、執念で布団から這い出してきたのだった。