∞
「あんたが金貸しかい? この子にどんなひどいことをしたんだい!」
一度カッとなると、後先を考えることが出来ない。
お前の悪いところだと、夫に言われるのだが、これはもう性分なのだからしょうがない。
2、3発殴りつけてやろうと、リンは男の方に足を踏み出した。
たいていの男は、彼女の上背と、気性の激しさに臆して、この瞬間で逃げ腰を見せるのだが、男は微動だにしない。
それがまた、ひどいヤクザものに見えて、更に頭に血が昇る。
しかし、その身体は引き留められた。
誰あろう、メイに。
「お、お姉さん! お姉さん、違うの! 違うんだったら!」
腕に、必死でしがみついてくる。
彼女とのつきあいも長いので、これからリンがどういう行動に出ようとしているのか、きっとすぐに分かったに違いない。
ヤクザものを殴った後の報復とか、そういうことを考えて引き留めた―― にしては、ちょっとメイの様子は違っていた。
まるで、あの男を守るかのような一生懸命の表情だ。
おや?
リンは、その瞳に押されて動きを止める。
一体、どういうことだろう。
「か、彼は…その…えっと…あの……私の…」
問いただそうとすると、途端に彼女は言い淀んで。
強い口調でこられると、いつもメイはそんな風になってしまう。
悪いクセだ。
『もっと、シャキシャキ答える!』
短気なリンは、子供の頃からそう言い続けてきたが、どうやら生まれつきのものは、なかなか治らないらしい。
その上、メイの顔は真っ赤になっていた。
照れているようだ。
照れているせいで、余計に口が動かなくなってしまったのか。
照れる?
あの男との関係を聞いて、顔を赤らめるということは。
リンは、メイをじっと見た後、男の方に視線を投げた。
愛想の悪い、仏頂面がそこにはあって。
「あんたが金貸しかい? この子にどんなひどいことをしたんだい!」
一度カッとなると、後先を考えることが出来ない。
お前の悪いところだと、夫に言われるのだが、これはもう性分なのだからしょうがない。
2、3発殴りつけてやろうと、リンは男の方に足を踏み出した。
たいていの男は、彼女の上背と、気性の激しさに臆して、この瞬間で逃げ腰を見せるのだが、男は微動だにしない。
それがまた、ひどいヤクザものに見えて、更に頭に血が昇る。
しかし、その身体は引き留められた。
誰あろう、メイに。
「お、お姉さん! お姉さん、違うの! 違うんだったら!」
腕に、必死でしがみついてくる。
彼女とのつきあいも長いので、これからリンがどういう行動に出ようとしているのか、きっとすぐに分かったに違いない。
ヤクザものを殴った後の報復とか、そういうことを考えて引き留めた―― にしては、ちょっとメイの様子は違っていた。
まるで、あの男を守るかのような一生懸命の表情だ。
おや?
リンは、その瞳に押されて動きを止める。
一体、どういうことだろう。
「か、彼は…その…えっと…あの……私の…」
問いただそうとすると、途端に彼女は言い淀んで。
強い口調でこられると、いつもメイはそんな風になってしまう。
悪いクセだ。
『もっと、シャキシャキ答える!』
短気なリンは、子供の頃からそう言い続けてきたが、どうやら生まれつきのものは、なかなか治らないらしい。
その上、メイの顔は真っ赤になっていた。
照れているようだ。
照れているせいで、余計に口が動かなくなってしまったのか。
照れる?
あの男との関係を聞いて、顔を赤らめるということは。
リンは、メイをじっと見た後、男の方に視線を投げた。
愛想の悪い、仏頂面がそこにはあって。


