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「まあまあ、母さん」
早口の母親に比べて、父親の方の声は穏やかでゆっくりしたものだった。
系列的に言えば、ハルコと似ている。
ちゃんと理屈さえ通せば、話が分かる人の声だ。
「とりあえず、名前を教えてもらえるかな? 息子は、私らの娘になる人の名前も教えなかったんでね」
眼鏡のない少し細められた瞳が、まっすぐにメイを見て。
そうしたら、がんじがらめだった緊張の糸が、プツンと切れた。
娘だと。
そう言ってもらえたからかもしれない。
自分が、あの父親以外の娘になることを、考えたことはなかった。
義父や義母であるとか、息子の嫁であるとかいう単語は、何度となく頭の中によぎっていた―― しかし、そのその中に『娘』という言葉は落ちていなかったのである。
その音はキラキラと輝いて、メイの胸のクッションに落ちたのだ。
すごく、欲しかった音だった。
手にしていいのか、少し戸惑う。
本当に、このキラキラを捕まえてもいいのか。
逃げないのか。
怪我をしたりしないのか。
戸惑いというよりは、怖かったのかもしれない。
「まあまあ、母さん」
早口の母親に比べて、父親の方の声は穏やかでゆっくりしたものだった。
系列的に言えば、ハルコと似ている。
ちゃんと理屈さえ通せば、話が分かる人の声だ。
「とりあえず、名前を教えてもらえるかな? 息子は、私らの娘になる人の名前も教えなかったんでね」
眼鏡のない少し細められた瞳が、まっすぐにメイを見て。
そうしたら、がんじがらめだった緊張の糸が、プツンと切れた。
娘だと。
そう言ってもらえたからかもしれない。
自分が、あの父親以外の娘になることを、考えたことはなかった。
義父や義母であるとか、息子の嫁であるとかいう単語は、何度となく頭の中によぎっていた―― しかし、そのその中に『娘』という言葉は落ちていなかったのである。
その音はキラキラと輝いて、メイの胸のクッションに落ちたのだ。
すごく、欲しかった音だった。
手にしていいのか、少し戸惑う。
本当に、このキラキラを捕まえてもいいのか。
逃げないのか。
怪我をしたりしないのか。
戸惑いというよりは、怖かったのかもしれない。


