冬うらら2


 口に出しては聞けないが、無意識に目で訴えていたのだろう。

 視線が合うとカイトは眉を顰め、それから顎をそらした。

「明日…出かけるぞ」

 言ったのは、そんな言葉。

 出かけるって。

 ドコに?―― それは、野暮な質問だった。

 いま、両親に電話をしたことを併せて考えると、きっとメイを紹介してくれるつもりなのだ。

 ちゃんと、考えてくれてるんだ。

 そう思うと、胸がじんわりと温かくなった。

「気に入って…もらえるかな」

 その温かさを抱えたまま、恥ずかしさもかぶさって、メイはうつむいてしまった。

 どんな風に挨拶をしたらいいんだろう、と。

 やっぱり、『ふつつかものですが…』を、やらなくちゃいけないだろうか。

「関係ねぇ」

 カイトの強い声で、そんな返事がくる。

 顔を上げると、ちょっと不機嫌そうな彼の表情。

「アイツらが、何と言おうが関係ねぇ…」

 もう一度言われて、彼女は困ってしまった。

 カイトはそれでいいかもしれないが、メイとしては、出来れば好かれたいと思うのが本音だ。

 それに、彼らとつき合うことで、カイトのことをもっと知ることが出来るかもしれないのに。

「ご両親って、どんな人?」

 今夜のカイトは、ちょっとよくしゃべってくれそうな気がして、彼女は聞いてみた。

 何だか、この短い間にたくさんの彼の言葉を、聞けたような気がする。

 そんなささやかなことでも嬉しい。

 しかし、彼女は調子に乗り過ぎたようだ。

 彼はなおさら、不機嫌な顔になってしまった。

「フロ、入るぞ」

 そして、いきなりソファを立ち上がったのだ。

 要するに、この話はもう終わり、と言いたいのだ。