冬うらら2


 きっと。

 カイトの親への電話なのだ。

 だって、ちょっと声が違う。

 それに気づいて、メイの頬が緩んだ。

 子供の頃からの、弱みやみっともないことを知っている相手への、かなり苦手そうな声。

 きちんとコミュニケーションを取る言葉を、たくさんは持っていないに違いない。

 こっちをチラッと見た目が、『聞くな』と言ってるような気がした。

 慌てて目をそらす。

「もう、いいから…親父とかわれ! …ったく」

 頭をかきむしりそうな勢いで、カイトがため息をつく。

 もう一度、ちらっとこっちを見て―― ついにメイに聞かれるのがイヤになったのか、大股で彼は部屋の外に出ていってしまった。

 あ。

 そんなに。

 恥ずかしがらなくてもいいのに。

 残念に思いながら、でもちょっとカイトの可愛いところを垣間見れたような気がして、彼女は嬉しくなってしまった。

 が、その直後、ハッとする。

 一体何を言うために、カイトは親に電話をしているのだろうか、と。

 さっきメイが、両親のことをほのめかしたので、何か思いだしたのだろう。

 ソワソワ。

 気になる。

 けれども、立ち聞きなんていけないし。

 彼女は、ドアの外の方へ意識を飛ばしながらも、ソファに座っていなければならなかった。

 が、すぐにカイトは帰ってくる。

 既に、ケイタイの通話は切れているようで、右手に無造作に握られたままだ。

 そのままソファに戻ってくると、マグカップの近くに手の中の小さな電話を、やっぱり無造作に置く。

 ドキドキ。

 一体、何の電話?