冬うらら2


 そんなにたくさんの荷物はないというのに。

 だから、3つくらいだけもらってきた。

 ペシャンコにつぶれたままの段ボールを、カイトが部屋に置いた。

 車の荷台から彼女が持っていこうとしていたのに、ぱっと横から手を出して無言で抱えてくれたのだ。

 すごく、優しい。

 それだけでさえ、メイはぽぉっとなってしまった。

 そういう態度を見せてくれるたびに、もっと彼を好きになってしまう。

 畳の上で箱を手早く組み立てる指。

 何で、そんなにいろんなことが素早く出来るんだろう。

 魔法のようだった。

 一つそれをもらって、服や小物を詰めていく。

 これと、これと。

 家から持ってきたもの。

 ここに来てから買ったもの。

 どれもこれも、きちんと顔を覚えていた。

 たくさんでないだけに、どれにもすごく愛着があったのだ。

 ガチャ、ガチャッ。

 そんな彼女の後ろの方で、金属の音がいきなり聞こえ始めた。

 何の音かと思って振り返ったら、カイトが工具箱を開けている。

 そうして、銀の長いドライバーを出した。

「……?」

 何をするのかと見ていたら、彼はいきなりベッドをバラし始めたのだ。

 彼女がここにいる間に使っていた、あのパイプベッドを、だ。

 確かに。

 この状態のまま、あのトラックに積めないことはないだろうが、アパートの入り口から出すとか、階段を下りるとかの面倒を考えれば、バラした方が都合がいい。

 彼女は何もお願いしていなかったのに、カイトはちゃんとこのベッドのことを覚えていてくれたのだ。

 工具箱を持ってきてくれてたなんて。

 その横顔を、じっと見つめてしまった。