2/3友達

更衣室から皆がいなくなったのを確認して、ゆっくりと外に出た。

薄暗い。

空を見上げたら、ほんのり赤紫色の空が静かに広がっていた。

「おつかれ。」

道場の台石に腰掛けていたのはタイスケだった。

「おつかれ。」

ため息まじりに言う。

もう、部員達は全員帰ったのか、その声以外には何も聞こえなかった。

「ハルナちゃんは?」

「先に帰った。」

「大丈夫だったの?心配そうに見てたけど。」

「大丈夫。」

何が大丈夫なんだか。

あんたほど女心がわかってない人間はいないっつうの。

「とりあえず、さっきのベンチいかね?」

私は黙ってうなずいた。


ベンチに腰掛けると、涼しい風が頬を撫でていった。

タイスケも私の横に座る。

「さっきはごめん。」

タイスケは唐突に謝ってきた。

「何が?」

「だから、さっき、ここでいきなりしちゃったこと。」

「はぁ。ほんと、あんたは何考えてんだか。人をおちょくんのもいい加減にしてよね。」

「おちょくってなんかない。」

タイスケは私の方を見た。

薄暗い中、妙にタイスケの目が光っていた。

ドキドキしてくる。

だめだ。

やっぱり、好き。

タイスケが好き。