2/3友達

その日は1日落ち着かなかった。

色んな視線を感じる感じる・・・。

こんなに視線を集めた日って、生涯初めてじゃないかしらと思うほどに。

当然のごとく、授業にも身が入らないわけで。

部活にも身が入らないわけで。

そそくさと帰っていくカツヤの背中を見送ると、思わず長いため息がもれた。

新マネージャーのうち、カツヤ目当ての子は今日は欠席。

っていうか、もう辞めちゃったかも?

さすがにこんなけ広まっちゃ、カツヤや私と会わせる顔がないんだろう。

なんとなく、脱力感。

部室前のベンチでぼんやり腰を下ろしていた。

「おう。」

前からタイスケがやってきた。

「あ、昨日はありがと。」

「あいつ、今日はさっさと帰えっちまったな。」

「あいつって、カツヤのこと?」

「しかいないだろう?」

「ああ、うん。ちょっと話したかったんだけどさ、今日は用事があるんだって。」

「ふぅん。」

タイスケは興味なさそうな顔で私の横に座った。

「で、例の従妹さんとは連絡ついた?」

私はぶんぶんと首を横に振った。

「今日も、朝から何度かメールしてるんだけど、全く音沙汰なし。」

「何かにおうよな。」

「え?臭い?!私?」

焦って、自分の体を確かめる。

「ばかか、お前。その臭いじゃねーっての。」

タイスケが笑った。


久しぶりに見たタイスケの笑顔。


なんだか、心がホッとした。

私もそんなタイスケを見て笑った。


「ナツミ、俺に久しぶりに笑ったんじゃない?」

タイスケも心なしか嬉しそうだった。

「ほんとだね。なんでか最近私たちってぎすぎすしてたもんね。」

「なんでかって・・・理由は明確だけどな。」

「は?」

「っていうか、さっきの話の続きだけどよ。カツヤと例の従妹さん、二人の関係ってなんとなく気になるよなーってこと。昨日の今日だろ?二人共と話できないって、なんかおかしくない?」

「そ、そっかな。」

「おめえはいつだって鈍感っちゅうか、にぶいっつうか。それで結局頭打たれるタイプだろ?もう少し自覚しろっての。」

「ひどい言い方!」

「だって、本当のことだろ。」