「いや、完全に恋しちゃってるでしょ」



「やっぱり…?」



「うん、」



貴子はマスカラを塗りながら
そう言った



てか、何回重ね塗りすれば
貴子は満足するんだろう…



「琴音さー
今まで人を好きになったことないの?」



やっとあたしに目を向けた貴子は
あたしにそんな質問をしてきた



「あるよ!
あるけど、今までこんなこと
なかったんだもん…」



「なかったんだもんって…
で、琴音はどうしたいわけ?」



貴子はマスカラを置き
ビシッとあたしを指差さす





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