「無理…?」
そんなニヤニヤした蒼維の言葉があたしの耳に入った途端、
「きゃっ…!!」
あたしの視界が一瞬にしてぼやけ、耳元から何かがすり抜けると、肩に今までとは違うくすぐったい感触があたしを襲った。
目の前にいるはずの蒼維の顔が見えない。
「ちょ…蒼維!!」
「無理じゃないでしょ。
知ってた?詩音は眼鏡と三つ編みをなくすと、凄くかわいくなるんだって」
今の言葉で、あたしの身に起こっていることが理解できた。
視界がぼやけて何かがすり抜けたのは、蒼維があたしの眼鏡を取ったから。
肩に変な感触がするのは、蒼維があたしの三つ編みをほどいたから。
「…嫌だよ、蒼維」
あたしは見えない蒼維の姿を探しながら、ボソっと一人呟いた。
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