感想ノート

  • 最終話・その1


    「まおん…、真音…!!」

    誰かが僕を呼んでいる? その声に引き寄せられるようにして、僕は意識を取り戻した。

    目の前に、泣き顔のあかりがいた。

    朦朧とした意識の中、僕はあかりに尋ねる。

    「ここは…、どこ?」

    「ここは病院よ。良かった、真音の意識が回復して」

    「病院? どうして、僕が病院に?」

    僕の腕には点滴が施されていた。何で、こんなものが僕の身体に!?

    「あ、もう、駄目よ、まだ動いちゃ。絶対安静なんだからね!!」

    身体を起こそうとする僕を、あかりが慌てて制止する。

    「どういうこと? あかり、何があったのか教えてくれない?」

    「覚えてないの!? 真音は私を助けてくれたの。私の身代わりになって…」

    僕が、あかりの身代わり…!? その言葉に触発されて、記憶がよみがえった

    ふぅあ&なみ 2009/04/14 12:36

  • 最終話・その2


    ファスト・フード店の帰り道。横断歩道を渡るあかりを見送る僕。

    その時だった。

    信号無視のバイクが猛スピードで突進してきた。

    「あかり~!!」

    僕の体は反射的に動いていた。あかりを助けようと、横断歩道に飛び込んでいた。

    物凄い衝撃を全身に受ける。次の瞬間、身体が宙を舞っていた。その時はなぜか痛みを感じることもなく、まるで鳥にでもなったかのような、不思議な感覚だった。

    あぁ、僕は生死の境を彷徨っていたのか。

    「そう。真音、本当にごめんね。そして、私のこと助けてくれて本当にありがとう!!」

    おそらく、砂時計は僕の残りの寿命をカウントダウンしていたのだろう。

    砂時計のなかから聞こえてきた声。あかりは閉じ込められていたわけじゃなかったんだ。あれは、昏睡状態だった僕のことを心配し続けていたあかりの思いだったのだ。

    じゃあ、トゥエルブ・モンキーズは何だったんだ? あれも、全部、夢だったのか?

    なんで、あんな変な夢を見たんだろう。本当に変な夢だった。

    「じゃあ、私、何か飲み物買って来るね」

    そう言って、あかりが立ち上がったとき、僕の視界にあるものが飛び込んできた。思わず、僕は、あかりを呼び止める。

    「あかり、それは何?」

    「え?」

    「あかりの鞄についている物、それ、何?」

    「あぁ、これはね」あかりはニッコリ笑って言った。「お守り、かな?」

    あかりの鞄には、いたずら好きそうな笑顔を浮かべた猿のぬいぐるみがぶら下がっていた。

    ふぅあ&なみ 2009/04/14 12:35

  • >シロネコさん

    ではでは、第8話の長所&短所ですが~


    長所。

    ストーリー展開、銀色の砂時計の出現、素晴らしかったです(^^)V

    しかも、文章のひとつひとつに繊細な描写が織り込まれていて、実に素晴らしかったと思います。



    だから、今回は、短所、無いですねー。

    でも、お互い指摘しあう約束ですので、無理やり(?)探してみることに…(^^;)(笑)



    無理やり見つけた短所(笑)

    「困ったな・・」

    また独り言を言いながら、寒さに手をこすり合わせた僕は、とりあえず、さむっ、と身を震わせ、この階は早く
    離れようと考えた。

    > この階「は」よりも、この階「から」の方が良いかも!?

    あと、句点は必要ですが、あんまり多すぎると、ぶつ切りになってしまい文章の流れが悪くなってしまいます~。


    と、まぁ、今回の長所&短所はこんな感じです!!

    ふぅあ&なみ 2009/04/06 12:06

  • >シロネコさん

    遅くなりすみません(^^;)
    第9話、お待たせしました!!

    第8話の長所&短所は、また後日書き込みますね~!!

    ふぅあ&なみ 2009/04/02 09:37

  • 第9話・その1


    覚束ない足取りで砂浜に辿り着いた僕は、颯爽とそびえ立つ銀色の砂時計を見上げた。

    砂時計の本体部分、おそらくガラスで出来ているであろう管は通常サイズの砂時計同様くびれており、中央にいくに従い細くなっている。その中央部分でさえ、手にも届かぬほどに高い場所に位置している。

    砂時計の存在に圧倒されて、僕はその場に座り込んだ。

    その時だった。

    「まおん…。真音…」

    どこからか、声が聞こえてくる。誰かが僕を呼んでいる。

    聞き覚えのある声。間違いない。あかりの声だ。

    この近くにあかりがいる。そう確信した僕は、あかりの姿を見つけようと辺りを見渡す。

    「あかりー!! あかり、どこにいるんだ!?」

    「真音、こんな所にいては駄目よ。上層の砂が全て下層に落ちてしまったら、もう、どうすることもできない。その時が来るまでに、ここから脱出するのよ」

    その声は、砂時計から、聞こえてくるようだった。だとしたら…。

    砂時計の中に、あかりが閉じ込められているに違いない。

    「あかり、今、助けてやるからな!!」

    僕は透明な管をぶち破ろうとして拳を打った。しかし砂時計はビクともせず、その代わりに僕の右手に激痛が走った。

    「いってぇー!! 何なんだよ、これ。普通のガラスじゃないのかよ!? か、硬すぎる…」

    ふぅあ&なみ 2009/04/02 09:36

  • 第9話・その2


    困り果てた僕に助言するように、また声が語りかけてくる。

    「真音、携帯電話を使うのよ。携帯電話を使って、トゥエルブ・モンキーズ達をここに召喚するのよ」

    「え? でも、あいつらのメルアド知らないし…」

    「大丈夫。携帯電話のアドレス帳を見て」

    言われたとおり、僕はアドレス帳を確認する。すると、そこには、12匹の猿たちのメールアドレスが登録されていた。

    と、いうより…。12匹の猿たちのアドレスしか登録されていない!?

    も、もしかして…!! 僕の携帯電話を奪った猿が、その間に登録してたのか!?

    でも、なんで友達のアドレスを全部削除するんだよ!! なんかムカつくんですけどっ!!

    「真音、急いでトゥエルブ・モンキーズたちを呼び寄せるのよ」

    「…。分かったよ」

    僕の親指が高速で文字を打つ。



    送信者:真音

    至急! 今すぐ砂浜に来い!!



    僕は、12匹全員にメールを送った。



    ―数分後―


    「ウッキー、ウッキー」「ウッキキー」

    トゥエルブ・モンキーズ達が勢いよく、こっちに走ってきた。相変わらず元気で愉快なやつらだ。こいつらが集まると騒々しいったらありゃしない。

    「よし、みんなで砂時計をぶっ壊すぞ!!」

    「ウッキー!!!」

    僕たち13人は、力を合わせ、砂時計を破壊する。頑強な砂時計に亀裂が入り、そこから洪水のように砂が溢れ出してきた。

    キラキラと輝く黄金の砂に飲み込まれるうちに、いつしか僕は意識を失っていた。

    ふぅあ&なみ 2009/04/02 09:35

  • >シロネコさん

    今回は“アイディア”の視点で長所・短所を指摘しますね~(^^v)


    ではでは、第6話の長所から~

    全10話なので、そろそろ起承転結の“転”。
    キーとなる携帯電話を登場させたタイミングが良かったと思います!!

    しかも、猿山あかりからのメールっていうのが良案ですよね。

    あ、でも、メールの内容考えた私。あれで良かったのかな、と(^^;滝汗)

    もっと物語の核心をつける衝撃的なメールの内容を思いつけたらよかったのですが…(汗)この点は私の力不足ですね(^^;)笑



    欠点の方は~

    以前、井上真音は、「8月は暑いから探索向きではない」と言い、気候の良い4月に移動しました。そして、4月は猿を追いかけて探索を行いました。

    で、次の1,2月は寒すぎるので探索向きではないかもしれませんが、

    気候の良い3,5月の探索をしなかった井上真音。

    失踪した友達の行方を捜そうとする必死さが、真音から感じられなかったような気もします(^^;)

    でも、ストーリー的に、12匹全員返したところで何かイベントが起きるのかもしれない!?

    そう思い直した私は、塔の探索を後回しにして、真音を一気に12の階までのぼらせることにしました~。

    と、いうわけで、第8話、楽しみにしてますー。
    ではでは~(^^)V

    ふぅあ&なみ 2009/03/21 09:48

  • >シロネコさん

    お久しぶりです!!
    遅くなりましたが、第7話書き込みましたのでよろしくお願いします~(^^)


    第6話の長所&欠点は、また後日書き込みますねー!!

    ふぅあ&なみ 2009/03/17 15:39

  • 第7話・その1


     メールは短いものだった。


     送信者:猿山あかり

     先に着いたよ~。いつもの席で待ってるね。



     送信日時を見てみる。7月28日。高校3年生の夏休みに入って間もない頃のメールだ。


     夏休みになると僕たちは、たまにファストフード店に行って二人で受験勉強していた。


     どうせ、家に帰っても勉強漬けの毎日で嫌になる。あかりと二人でハンバーガーやポテトを食べながら勉強する方が、よっぽど楽しい。


     いつもの席。それは、一番奥の窓際の席だった。隅っこで、こじんまりとしたその席が僕たちの指定席だった。


     待ち合わせをしても大抵は、あかりの方が先に着いて待っていることがあった。しかし、それは決して僕が時間にルーズな人間というわけではない。僕だって待ち合わせの5分前には到着しているのだ。20分前に来ているあかりが早すぎる。


     あかりは、絶対に遅刻したくなかったのだろう。万全を期して早め早めの行動を心がけているのだと思う。


     あかりは完璧主義者だった。まるで一秒一秒を正確に刻む砂時計であるかのように。


     ふと、砂時計のことを思い出した。僕は、ポケットの中を探り例の砂時計を取り出してみる。


     すると不思議なことに、砂時計の砂は正常に流れ落ちている。さっき、砂浜で目覚めていたときはビクともしなかったのに、どうして?


     もしかしたら…!? ある推測が僕の脳裏に浮かんだ。この砂時計は、この塔に来てから流れ落ちるようになったのではないか?


     そして、もう一つ。あかりが失踪したのも、ファストフード店で別れた後だった。あの日を境にあかりは、まるで神隠しにでもあったかのように姿を消した。

    ふぅあ&なみ 2009/03/17 15:37

  • 第7話・その2


     どうやら携帯電話から得られるヒントも、この不思議な塔とリンクしているようだ。


     じゃあ、1の階や2の階で携帯電話をチェックすると、1月や2月に関係性のあるメールが表示されるのかもしれない。


     もう一度、1の階から順番に行ってみようかと思ったが、トゥエルブ・モンキーズ全員を全ての階に送り出したら何が起きるのか知りたいという好奇心の方が勝って、結局僕はエレベーターを上昇させた。


     8の階は、既に行ったので飛ばして、9、10、11、12と順番に行った。


     ここがどこなのかは未だに謎に包まれているが、日本の四季と同じように、9、10、11月になると森は紅葉し、12月になると枯れ木に姿を変えた。


     そして、12の階では、最後の猿が「ウキー」と声高々に鳴いて、他の猿たち同様、一目散に森の中を走っていった。


     遂に、僕はひとりになった。


     一体、何が起きるのか。不安と期待から僕の鼓動は高鳴った。

    ふぅあ&なみ 2009/03/17 15:36

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