水野さんが舜のフルネームも知っていることにちょっと驚きながら、あたしと舜は立ち上がって茅島さんに挨拶した。

舜もさすがに初対面の女性にまで不機嫌な顔は見せない。

あたしはほっとした。


茅島さんが名刺を出してきたので、あたし達も名刺を取り出し交換した。

茅島さんの肩書を見ると、『代表取締役社長』とあった。


「えっ、あのう、茅島さんは社長さんなんですか?」

思わず、あらためて茅島さんの顔をを見てしまった。

あたしより少ししか年上に見えない、落ち着いた物腰の美人。

こんな若くてきれいな人が社長!?


茅島さんはにこやかに微笑んで「ええ」と頷いた。

そして、

「ね、こうしてお会いしたのも何かの縁でしょうし、ご一緒させていただいてもいいかしら?」

と、問い掛けてきた。