「「「「乾杯!」」」」
シャンパンで乾杯を済ませると、舜がつぶやいた。
「あーあ、先を越されたなあ」
「なにが?」
あたしが聞くと、舜はグラスを置いて話し出した。
「前に話しただろ?起業の話。
美沙子さんにいろいろアドバイスしてもらって、資金繰りも目処がついてきたから、かりんがマンガ家デビューするより先に俺が社長になってびっくりさせてやろうと思ってたんだけどさ」
「え、そうなの?
あたし、もっと先の話だと思ってた……」
舜の独立はまだ何年か先の話だと思い込んでいたので、驚いた。
「ま、どうせ負けたんなら、もう少しじっくり腰落ち着けて準備して、1月頃にするわ」
「えっ!?それだってあと半年じゃない。
で、一体なにやるの?」
「内緒」
舜はもったいぶって教えてくれなかった。
どうやら美沙子さんは相談を受けて知っているようで、あたし達のやりとりをクスクスと笑って見ていた。


