あたしは水野さんと目を合わせた。
「こんばんは。
皆に声かけてくれたんですね。
ありがとうございます」
あたしが笑顔でそう言うと、水野さんは戸惑ったような表情で、一瞬美沙子さんの方を窺った。
ん?
美沙子さんは舜と再会を喜び合ってるけど……
「ああ、いや、新人賞おめでとう」
水野さんは作ったような笑顔でそう言ってくれた。
なんだろ?
ちょっと気になる……
でも、なんとなく今は何も言わない方がいいような気がする。
あたしは自分が感じた違和感には触れずに、水野さんに「ありがとうございます」ともう一度頭を下げた。
それからあたしたちは、水野さんが予約してくれたレストランへ4人で向かった。


