「あの、すみません。
私、事情がわかってないんですが、今日、私をここに呼んでくださったのは、中村君が何か関係しているんですか?」
「あなた、何も知らないの?」
「はい」
あたしが頷くと、田所さんはまだ胡散臭そうにあたしを見ながら話し出した。
「私は舜君と同じ大学の2年先輩なの。
で、昨日、珍しく舜君から電話があって、『リリア』の新人賞に友達が応募したんだけど落選しちゃって落ち込んでるから、落選理由を教えてやってくれないかって頼まれたのよ。
あなたが舜君に頼んだんじゃないの?」
あたしは驚いた。
舜、昨日そんなこと何も言ってなかったじゃん。
「いいえ、中村君に『リリア』の編集部に知り合いがいたなんて、知りませんでした」
しかし、田所さんは相変わらずあたしを疑うような目で見て言った。


