あたしは突然出てきた舜の名前に戸惑った。 「舜君って、中村舜君のことですか?」 「あたりまえでしょ。 ほかに誰がいるのよ」 「はあ、あの、中村君とは会社の同期で、今同じ部署で働いている同僚ですが……」 あたしが当たり障りのないように答えると、田所さんは目を細めて聞き返してきた。 「同僚?それだけ?」 「はい」 「付き合ってるわけじゃないのね?」 「え?あ、はい」 あたしは何がなんだかわからないまま、返事をした。 田所さんは、そんなあたしを疑わしそうにじっと見て言った。