「相手の男性のことは、僕も美沙子さんから飲みに行くたびにのろけを聞かされててさ、会ったことはないんだけど、よく知ってるんだ」
「はあ」
「もう1年くらい付き合ってんのかな?
で、1ヶ月くらい前にまた例のごとく美沙子さんに呼び出されて二人で飲んだときに、婚約するって聞かされたんだ」
「そうなんですか」
「で、おめでとうございますって乾杯したんだけど……」
「ええ」
そこまで話して、水野さんは下を向いて黙ってしまった。
やっぱり、水野さん、美沙子さんのこと?
あたしは沈黙に耐えられなくて、口を開いた。
「もしかして水野さん、美沙子さんのことが好きなんですか?」


