「あの時のこと、ちゃんと詫びたかったんだけど、なかなか機会がなくてさ。
でも、ずっと気になってたんだ。
あの時は、迷惑かけてホントにごめん」
そう言って水野さんは頭を下げてくれた。
あたしは慌てて手を振った。
「いえいえ、あれは、あたしが悪かったんですから気にしないで下さい」
あの日、ベッドの中で水野さんに抱きしめられた感覚は今でも覚えてる。
つい思い出して、ますます顔が熱くなった。
アルコールのせいもあるかな?
水野さんの顔もほんのり赤くなり始めていた。
あたしは思い切って、ずっと気になっていたことを冗談めかして聞いてみることにした。
「そういえば水野さん、あの時、あたしを誰か他の人と間違えませんでした?
なんか女の人の名前呼んでましたよ」


