あたしの返事に、水野さんは意外そうな顔をした。
「そうなの?
かりんちゃんなら、デートとかパーティーとか、いくらでも誘いがありそうなのに」
あたしは苦笑いしながら首を振った。
「いえ、今年はとにかく原稿第一だったんで、本当にクリスマスのことは全然考えてなったんですよ」
「そっかあ……」
あたしは話の流れに乗って、ちょっと探りを入れてみた。
「水野さんこそ、デートのお誘いたくさんあったんじゃないですか?」
すると、水野さんはさらっと答えた。
「いや、デートの誘いはないけど、美沙子さんにパーティーには誘われてたんだよね。
でもさっきの仕事が入って、ドタキャンしたんだ」
あたしは慌てた。
「えっ、じゃあ、今からでもそちらに行かなくていいんですか?」
「んー、そうだねえ、でもまあ、いいんじゃない?」
水野さんには珍しく、歯切れの悪い言い方だった。


