「じゃ、カンパーイ!
完成、おめでとう!」
「ありがとうございます!」
あたし達は居酒屋にいた。
クリスマスイブの今夜、おしゃれな街で予約なしで入れるレストランはなく、待たずに入れたのはここだけだった。
「悪いね、もっといいとこでおごろうと思ったんだけど」
「いえいえ、十分です」
水野さんと一緒なら、どんな店だってあたしには天国だ。
390円のレモンサワーだって、水野さんと乾杯すればシャンパン以上においしいく感じられる。
「でも、イブに僕と居酒屋なんかで本当に良かった?」
「もちろんです!
夜景だけ見たら、フライドチキンとケーキでも買って帰って、家で一人で食べるつもりだったんですから」


