「直帰できることになったから、かりんちゃんの原稿完成祝いに、何かおいしいもの食べに行かない?」


ええっ、ほんとに!?

信じられない!

ここで会えただけでもラッキーって思ってたのに、今夜一緒にいられるの?

イブに水野さんとデート!?


あたしは自然と緩む口元を隠すことができず、笑顔で頷いた。

「はい!」


そこから歩いてすぐのファッションビルに入ると、水野さんはあたしに聞いてきた。

「ここ、来たことある?」

そこは最近オープンしたばかりで、日本最初の人気ブランド直営店が入ったことが話題になっていた。

「いえ、最近はずっと家にこもっていたので……」

雑誌で読んではいたけれど、来たのは初めてだった。