あたしが答えると、水野さんは祝福してくれた。

「おめでとう!
とうとう完成したんだ。
頑張ったね。
でも、そんな祝福すべき聖夜なのに一人なの?」

あたしは苦笑しながら首をすくめた。

「はい、ここのところずっと原稿描くのに夢中だったんで、クリスマスのこと忘れてました」

すると、水野さんはケータイを取り出した。

「そっか。じゃ、ちょっと待っててくれる?」

そう言い、どこかに電話をかけ始めた。


「あ、水野です。お疲れ様です。
藍上アートさんのシステム、無事復旧しました。
もし何もなければ、このまま直帰したいんですけど。
……いやあ別にそういうわけじゃないですけど。
……はい、はい、わかりました、じゃあ、失礼します。
お疲れ様でした!」

どうやら会社にかけたみたい。

水野さんはケータイをしまうと、あたしに微笑みかけてきた。