「あれ?かりんちゃん?」


顔を見なくてもわかった。

飛び跳ねる心臓を押さえつけて、あたしは振り向いた。

やっぱり。


「水野さん……」


いつも会社で見るコート姿の水野さんが「やあ」と笑顔で近づいてきた。

「お仕事だったんですか?」

あたしの問いかけに水野さんは頷いた。

「急なトラブルで呼び出されてね。
でも、無事復旧して、今、解放されたとこ。
かりんちゃんは……、待ち合わせ?」

「いえ、実は、今日やっと応募するマンガの原稿が出来上がったんで、リフレッシュしにイルミネーションを見に来たんです」