「桜井っつったら、総務の桜井の親戚か?」
「いえ、違います」
「んじゃ、下の名前は?」
「かりんです」
「かりんちゃんか。
いつも水野が世話になってるね。
ああ、そういえば、中村舜ってのがここにいたろう?
あいつのプレゼン資料、よかったなあ。
なあ、水野」
「はい、よくできてましたね」
「舜ってのは、どいつ?かりんちゃん」
「あ、今、席はずしてて……」
あたしは広い座敷を見渡し、舜を探した。
「あ、あそこで3人の女子に囲まれてるのがそうです」
あたしが少し遠くの席で同期の女子と喋っていた舜を指差すと、大前さんはよく通る大きな声で舜を呼んだ。
「おーい、中村舜、ちょっとこっち来ーい」


