ひとしきり食べて飲んで満足すると、水野さんは冷酒を飲みながら話し出した。
「かりんちゃんはさ、なんでうちの会社に入ったの?」
「え、入社の動機ですか?」
「うん」
突然の質問に戸惑いながらも、ほろ酔いなこともあってあたしは本音で答えた。
「正直に言っちゃうと、就職厳しかったから入れてくれるならどこでもいいって感じだったんですよねー」
「去年は就職難だったんだっけ」
「そうなんですよー」
「そっかあ。
俺らの頃はまだそれほどでもなくて、結構選べる立場だったんだけどさ」
「ええ」
「会社説明会の会場で、社長の話を聞く機会があってね。
そこで聞いた話に俺、やられちゃってさ。
絶対この人の会社で働きたいって思ったんだよね」
「へえ、そうなんですか……」


